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国際情勢レポート  /  2026年7月

核戦力誇示・新関税・戦場の多様化:揺れる国際秩序の最前線

中国が初の太平洋へのSLBM発射実験で核抑止力を誇示、NATOはアンカラで結束強化を確認した。南シナ海では中比衝突が激化し、トランプ政権は新関税と国際機関への攻勢を強化。ウクライナはロシアの民間物流網に戦線を拡大した。

2026年7月29日公開

目次

1. 今月の主要ヘッドライン

2. 日本への影響と対応の方向性

最優先

中国SLBM発射を受けた核抑止力強化と透明性要求外交の両輪

中国のSLBM発射実験を踏まえ、日米の拡大抑止対話(核協議)の実質化と弾道ミサイル防衛(BMD)態勢の強化を急ぐ。同時に、日中防衛ホットラインを通じた透明性向上の働きかけと、国際的な核軍縮・不拡散への取り組みを継続する。

最優先

トランプ新関税への産業・交渉両面での対応

通商法301条に基づく新関税の品目別影響を精査し、国内産業界の損失最小化を図る。2025年合意水準内での最終決着に向けて日米交渉を加速させ、農産品・サービス・対米投資拡大などを交渉カードとして活用する。

重要

バーナム新首相との早期関係構築とGCAP推進の政治的後押し

英国の新政権発足を機に早期の日英首脳会談を実現し、GCAP(次期戦闘航空機プログラム)などの防衛・技術協力の継続・加速を確認する。IP4とNATOの連携強化においても英国との協調を深める。

重要

フィリピン支援強化と南シナ海の法の支配維持

中国のスカボロー礁での妨害行為激化を踏まえ、日比2プラス2の定例化と海上保安庁・海上自衛隊によるフィリピンへの能力構築支援を拡充する。FOIPの旗手として、ASEAN諸国との連携による多国間的な抑止姿勢を維持する。

重要

ICC問題での法の支配外交と日米同盟管理の両立

米国のICC解体宣言に対し、赤根所長を擁する締約国の立場から欧州諸国と連携してICCへの支持を表明しつつ、日米同盟の根幹を損なわない形での摩擦管理を図る。多国間主義と日米同盟の両立を示す丁寧な外交が求められる。

3. 今後の見通し

短期(3ヶ月)

複合リスクの管理と即応力の強化

  • ·中国のSLBM追加発射実験の有無と、日米の拡大抑止協議の進展状況
  • ·トランプ関税をめぐる日米交渉の行方と、品目別の影響把握・企業対応の定着
  • ·スカボロー礁での中比衝突の継続・エスカレーションと、米国の関与姿勢の確認
  • ·バーナム英新首相との日英首脳会談の早期実現とGCAP再確認

中期(1年)

多極化への構造的適応と多層安全保障の定着

  • ·中国の核戦力近代化(SLBM多弾頭化・陸海空三本柱の整備)への日本の防衛戦略の適応
  • ·米国の通商保護主義と国際機関への攻勢に対する日欧G7連携でのカウンターバランス
  • ·南シナ海行動規範(COC)交渉の行方と、インド太平洋秩序における多国間規範の形成
  • ·ウクライナ情勢の長期化を前提とした対露制裁の持続性と日本の復興支援の具体化

長期(3〜5年)

自立的・多層的安全保障体制の確立

  • ·中国の核・通常戦力の成熟に対応した日本の自立的な抑止能力の整備と、日米同盟の質的強化
  • ·対米関税摩擦を踏まえたサプライチェーンの多角化と、フレンド・ショアリングの制度化
  • ·インド太平洋地域での多国間安全保障枠組み(IP4・クアッド・ASEAN)の制度的深化
  • ·国際法秩序・人道法体制の維持に向けたICCを含む多国間機関へのリーダーシップ発揮

今月の総括

7月は、中国による初の太平洋へのSLBM発射実験が日本のEEZに警告を発し、安全保障上の緊張が一気に高まった。NATOアンカラ首脳会議ではウクライナへの大規模支援と防衛費増額目標の確認が行われ、日本もIP4(インド太平洋パートナー)として存在感を示した。米国はICCの解体宣言・新関税発動という二方向での国際秩序への挑戦を続け、南シナ海では中国のフィリピンへの妨害行為が前例のない頻度で激化している。ウクライナはロシア大手EC「ワイルドベリーズ」倉庫への組織的攻撃を展開し、ロシア市民の日常生活にまで戦争の影を拡大させた。英国ではバーナム新首相が就任し、日英安全保障協力の新局面が始まった。