国際情勢レポート / 2026年8月
北朝鮮によるロシアへの追加派兵をめぐる懸念が高まり、中国とインドネシアは台湾東方海域で海上演習を実施。プーチン大統領は択捉島を訪問し、日露間の対立が再燃した。米国はICC赤根所長らへの制裁を発動する一方、CIA長官がモスクワを訪問するなど、対立と対話が並行して進んでいる。
目次
最優先
北朝鮮・ロシア軍事協力の拡大を前提とした日米韓連携の強化
北朝鮮によるロシアへの派兵・軍事支援の拡大を踏まえ、日米韓による北朝鮮の兵力・ミサイル・軍事技術移転に関する情報共有を強化する。ウクライナ戦争を通じた北朝鮮軍の実戦経験が朝鮮半島の軍事バランスに与える影響を継続的に分析し、ミサイル防衛・避難体制などの実効性も高める。
最優先
北方領土・北海道周辺の安全保障態勢を再点検
プーチン大統領の択捉島訪問を踏まえ、北方領土周辺のロシア軍事活動やインフラ整備を継続的に監視する。北海道周辺の海空域における警戒監視能力を強化するとともに、領土問題について国際社会への発信を継続する。
重要
ICC制裁問題で法の支配と日米同盟の両立を図る
米国による赤根ICC所長らへの制裁に対し、日本はICCの主要支援国として国際法・法の支配を重視する立場を明確にする。同時に日米間の外交的対話を維持し、ICC加盟国との連携を通じて国際刑事司法制度の機能維持に取り組む。
重要
日英協力をGCAPから経済安全保障・先端技術へ拡大
高市首相とバーナム英首相の合意を踏まえ、GCAPを着実に推進するとともに、AI、サイバー、宇宙、半導体など先端技術・経済安全保障分野での日英協力を拡大する。欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障を接続する戦略的パートナーシップを強化する。
重要
米露間の水面下交渉を踏まえたウクライナ政策の柔軟な対応
CIA長官の訪露など米露間の直接的な意思疎通を注視し、停戦・和平交渉の進展可能性を分析する。米国の対露政策が変化した場合にも、日本がG7の一員としてウクライナ支援と対露制裁の一貫性を維持できる外交戦略を準備する。
短期(3ヶ月)
北朝鮮・ロシア連携と米露接触の行方を見極める
中期(1年)
欧州・インド太平洋を横断する安全保障環境への適応
長期(3〜5年)
多極化する国際秩序に対応した日本の戦略的自立
今月の総括
8月は、ウクライナ戦争を軸とする国際安全保障環境がインド太平洋にも波及する構図が鮮明になった。ゼレンスキー大統領は北朝鮮が最大5万人規模の兵士をロシアに派遣することを決定したとの見方を示し、北朝鮮・ロシアの軍事協力拡大への警戒が強まった。中国とインドネシアは台湾東方海域で海上通航演習を実施し、中国の域外での軍事協力拡大を印象づけた。プーチン大統領による択捉島訪問は、日本の北方領土問題に対するロシアの強硬姿勢を改めて示すものとなった。米国はICC赤根智子所長らへの制裁を発動し、日本が重視する法の支配との摩擦が顕在化。一方、高市首相とバーナム英首相は日英安全保障協力の強化で一致し、月末にはCIA長官がモスクワを訪問するなど、対立の中でも米露間の直接的な意思疎通が維持されている。