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2023年4月に行われた統一地方選挙をきっかけに、 「いい政治ドットコム」を立ち上げました。このサイトがどういった経緯で作られ、またどういった点を見ていただきたいかを一読いただければと思います。
選挙のたびに期間中だけ熱心に活動する候補者たちを見て、「この選挙に本当に意味があるのか?」と長年疑問に思ってきました。
多くの候補者は名前を連呼したり、「〇〇を実現します!」「〇〇に反対!」と叫ぶだけ。
「その政策の実現可能性はどれくらいあるの?」「実現してどんな効果があるの?」「反対はいいけど、対案・代案はあるの?」など、疑問は尽きません。
さらに、候補者がこれまで何を実現してきたのか、これから何を目指すのかが明確でないため、有権者は候補者を選びようがないのです。
選挙後、公約が達成されたかをチェックする仕組みもなく、現職政治家の評価も曖昧。その結果、次の選挙でも同じ光景が繰り返され、日本の社会課題は一向に解決されません。
ではこの状況を変えるために必要なことは何か?
それは私たち有権者が、公約が守られているかどうかしっかり確認することです。
しかし、国政・都道府県政・市区町村政すべてを個人でチェックするのは現実的ではありません。4年前の公約を覚えている人はほとんどいないでしょう。
そこで、公約とその達成度を簡単に確認できるサイトがあれば便利だと考えました。調査の結果、そのようなサイトは見当たらなかったため、それなら自分で作ろうと思い立ちました。
サイトを作る上で選挙について調べていると、選挙時には選挙公報というものがあることを知りました。これは選挙管理委員会が作っている候補者の経歴や公約が記載された有権者向けの公報誌です。各自治体のホームページに掲載されていたり、折込チラシに入っていたりします。(※ホームページに掲載していない自治体もあります。)
大きさは大体A4サイズを3~4分割されたものが一般的です。伝えられる情報は限られますが、公に残る情報としてとても重要なものです。 いい政治ドットコムではこの選挙公報の情報をもとに政治家の公約を作成しています。
現状、多くの有権者は政治家の発言や約束を信用できない状態にあると言えます。
それはなぜか。
公約を守ろうとする政治家がほとんどいないからです。
どんなに素晴らしい公約も実現できなければ何の価値もありません。 むしろ公約を守らないのは詐欺です。
「やっぱりこの公約取り下げます」、「目標を下方修正します」、「公約達成できませんでした」
選挙後にこんなことが許されるなら誰も選挙に行こうとは思いません。政治家を信用することができず、政治への不信は強まります。
日本の投票率が低い一因もこういった政治不信からくるものだと思います。 投票に行っても何も変わらないと思うのは公約を掲げても守らない政治家ばかりだからです。
掲げた公約を守る政治家がいれば、投票に行く価値も出てくるでしょう。
本来、政治は有権者が不満・不安に思っていること、国や地方の行政で抱えている問題を解決するためにあります。
それぞれの立場を主張し合うだけでは何も解決しません。
日本では有権者が持っている要望と行政の認識している課題に齟齬があるように感じます。
有権者は手厚い行政サービスを望むが行政は財政的な制約もある中で様々な行政課題や住民からの要望に答えていかなければいけません。
道路や鉄道が欲しい、社会保障を充実してほしい、税金を安くしてほしいなど有権者目線でいうと要望はつきません。実現できればいいが、人口減少社会に突入している日本では財政的な問題があり、全ての要望を実現することは現実的ではありません。
その行政と有権者の問題認識の齟齬を解決していくのが政治本来の役割だと思います。
問題をどうやって解決するか、どうなったら解決したことになるのかを示すことが選挙における公約になると考えます。いい政治ドットコムでは各国会議員・首長・地方議員の公約を掲載しています。実際にチェックしていただきたいのが、公約達成率よりも、その公約の中身です。
多くの選挙公報を読んでいると、曖昧な表現の公約ばかりです。「力強い経済を取り戻す」「すべての人を取り残さない社会の実現」「クリーンな政治を取り戻す」「防災対策を推進する」こんな公約が多く見られます。
例えば、「力強い経済を取り戻す」とはどういうことなのか考えてみます。
まず定義する必要があるのは力強い経済とは?ということです。
「なんか景気いいよね」みたいな、人の主観で経済を判断することはできません。
GDP成長率、景気動向指数、消費者物価指数、実質賃金上昇率、失業率など経済を図る統計データは数多くあり、そのデータがどういう状態になったら強い経済を取り戻せた事になるか定義する必要があります。
「力強い経済成長を取り戻すために実質GDP成長率を3.0%を目指します」
これなら客観的な指標として皆が判断できる公約としてその達成可否を判断できます。
数値もしくは成果目標がない「力強い経済を取り戻す」といった公約は、有権者からすると達成の可否を判断できないのです。
「力強い経済成長を取り戻すために実質GDP成長率を3.0%を目指します。 そのために成長が見込まれる産業分野に減税制度を作ります」
といった具体的な政策まで示すとより有権者にその公約の目標、実現のための政策がわかりやすくなります。
このような形で公約を立てている政治家は数は少ないですが、ごく稀に存在します。
より具体的な目標設定を含んだ公約を政治に求めていくためには、有権者が厳しくチェックすることが重要です。
「力強い経済を取り戻す」とはどういうこと?
「すべての人を取り残さない社会の実現」とはどういう社会?
「クリーンな政治を取り戻す」とはどんな政治?
「防災対策を推進する」とは何が必要でどれくらい予算がかかる?
曖昧な公約に対して指摘していくことが、公約をより具体性のあるものにします。
いい政治ドットコムの役割はまず各政治家の公約を多くの人に知ってもらうこと、そしてその公約がきちんと達成されたかを皆で確認できるプラットフォームを提供することだと考えています。
今後も各都道府県議会や市区町議会のページを追加して行く予定です。
また、公約を達成したかどうかの検証方法と更新頻度は現在検討中です。1年に一度もしくは二度程度の公約進捗確認を行いたいと考えております。
お住まいの自治体の議会ページ作成の要望があれば、問い合わせいただければと思います。
より多くの人が政治に関心を持ち、日本の政治をより良くする一助となることを目指し、『いい政治ドットコム』を運営していきます。理念に共感し、応援していただける方がいらっしゃいましたら、ぜひシェアしていただけると幸いです。