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「政治」と「選挙」を意味のあるものにするために

公開:2025/7/18

2025年7月20日、私たちは参議院選挙という大きな節目を迎えます。 日本では選挙のたびに「国を変えてほしい」という声が聞かれますが、果たしてその思いは選挙を通じて実を結んでいるでしょうか。 政治とは、私たちの暮らしに直結するルールや仕組みを決めるものです。 選挙は、その政治に関わる代表者を選ぶ手段です。 つまり、政治も選挙も「私たちの生活をより良くするための手段」であって、政治家や政党のためのものではないはずです。

しかし、現実はどうでしょうか。 選挙が近づくと、耳障りのいい言葉が並び、目先の支持を得るためだけの政策やパフォーマンスが目立ちます。 選挙が「意味あるもの」になるためには、選挙前だけでなく、選挙後も私たち有権者が政治に関わり続け、厳しく見ていくことが求められています。 本コラムでは、前回のコラム「日本の社会課題を解決するために必要な4つのプロセス」で触れた視点も踏まえつつ、 「政治」と「選挙」を本当に意味のあるものにするために、私たちが考えるべきことを整理していきます。

目次

社会課題を定義できない人に、社会課題は解決できない

政治家はよく「社会課題を解決します」と公約に掲げます。しかし、その「社会課題」とは一体何なのでしょうか。例えば「少子化対策」や「物価高対策」という言葉が並べられても、それが何が問題で、なぜ起きていて、何をもって解決とするのかが示されていなければ、単なるスローガンに過ぎません。

「少子化を止める」と言うなら、“出生率を何年後までに何人まで引き上げる““そのために何をどう変える““どの制度をどう見直す“といった具体的なビジョンがなければ、有権者はその実現度を測ることも、評価することもできません。社会課題を本当に解決したいのであれば、まず課題を正しく定義し、その上で中長期の目標と行動計画を示すことが必要です。

選挙は“手段”であって“目的”ではない

選挙は、政治家にとっては「選ばれるための試験」 かもしれませんが、 本来は「社会課題の解決に向けて、共に働く人を選ぶ場」です。にもかかわらず、

  • パーティー券を売り歩いたり
  • 地元のお祭りに顔を出したり
  • 駅前で大声で演説したり

こうした行為が「選挙活動」として当然のように行われています。確かに、知名度を上げ、票を集めるためには有効なのかもしれません。活動自体を否定はしません。

しかし、そうした目先の票集めが「目的化」してしまっては、政治も選挙も本来の使命を見失ってしまいます。 政治家も有権者も、選挙を「より良い社会をつくるための手段」として捉え直すことが必要です。

公約と実行力はセットで評価する

選挙前になると、どの政党も候補者も「魅力的な公約」を並べます。また、近年では自分の考えに近い政党を診断する「政党マッチングサイト」も人気です。ですが、考えが近い政党や候補者が必ずしも「その公約を実行できるかどうか」は別の問題です。どんなに耳障りのいい政策を掲げていても、

  • 実現するための準備ができていない
  • 実行する力がない
  • もしくは、そもそも実行する気がない

そんな政治家や政党に期待をしても、我々が望む社会課題の解決は一向に実現しません。

だからこそ、過去に掲げた公約はどうなったのか、何を実現し、何ができなかったのか、その実績や結果にこそ目を向けなければいけません。

もしあなたが“発注者”だったら

前述したように選挙とは、いわば「社会課題の解決に向けて、共に働く人を選ぶ場」です。

たとえば、あなたが企業の担当者で、業務を委託するパートナー企業を探しているとします。その際、営業トークが巧みで、「依頼通りに対応します」と言う会社に仕事を依頼したとしましょう。

ところが、いざ発注したら

  • 仕事はほとんど手をつけず
  • 納期も守らず
  • 約束したことは口だけ

だったとしたら、あなたは次もその会社に仕事を依頼するでしょうか?

政治も全く同じです。

選挙前には、演説がうまく、多くの人を惹きつけた政治家がいたとしても、 実際には何も成し遂げず、社会課題の解決に寄与できていないなら、もう一度同じ人に投票することはためらうはずです。

私たちが当事者として“発注者”の目線を持ち、約束したことを実行できているのかを厳しくチェックする意識を持つことこそが政治を変える力になります。

まとめ

政治も選挙も、私たちの生活をより良くするための「手段」です。その手段が本当に意味あるものとなるかどうかは、私たち有権者の目と意識にかかっています。

  • 社会課題を正しく定義し、解決に向けて具体的なビジョンを示す政治家を選ぶ
  • 掲げている公約だけでなく、実行力や過去の実績を冷静に評価する
  • 選挙後も政治家の動きをウォッチし、公約が実行されているか確認する

この3つを意識することで、政治と選挙は“意味のあるもの”になります。

ただし一度の選挙で社会課題が劇的に解決することはありません。継続して政治に関心を持ち、現状の社会課題がどういう状態かを常に意識していく姿勢が有権者に求められます。

7月20日の参議院選挙は、そのスタートラインです。選挙を通じて、政治に対する私たち自身の姿勢を問い直し、一票が未来を変える力になることを、今一度確認していきましょう。

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