国際情勢レポート / 2026年6月
米イラン戦闘終結の覚書合意とG7エビアン・サミットが重なった一方、ウクライナ情勢はモスクワへの過去最大規模のドローン攻撃で泥沼化。中国は北朝鮮・バングラデシュへの外交攻勢を強め、英国では政権交代への動きが現実となった。
目次
最優先
ホルムズ海峡開放の確実な実施を働きかけ、エネルギー調達安定化を急ぐ
米イランの覚書合意を受け、ホルムズ海峡の段階的な開放が確実に実施されるよう外交的に働きかける。同時に、停戦の脆弱性を踏まえ、エネルギー調達先の多角化と戦略備蓄の継続的な積み増しを並行して進める。
最優先
中朝接近を踏まえた日米韓連携の強化と北朝鮮への圧力維持
習近平主席の訪朝により対北制裁の実効性が低下するリスクを踏まえ、日米韓の情報共有・安全保障協力を一段と緊密化する。中国への外交チャンネルを通じた対北対話への働きかけも継続する。
重要
英国政権移行期における日英協力の継続的推進
スターマー首相辞任後の政権移行期においても、GCAP(次期戦闘航空機プログラム)など日英安全保障・防衛産業協力が停滞しないよう、実務レベルの連携を維持・強化し、新首相との関係構築を早期に進める。
重要
中国のグローバルサウス外交への対抗として対南アジア・インド太平洋戦略を強化
バングラデシュへの中国の影響力拡大を踏まえ、日本独自のODA・インフラ支援や日印連携を通じたインド太平洋地域でのプレゼンス強化を図る。「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の具体化を加速する。
短期(3ヶ月)
停戦の定着と地域安定への緊張感の継続
中期(1年)
ブロック化と多極化への対応の定着
長期(3〜5年)
多極化世界における自立的生存戦略の深化
今月の総括
6月は、米イランの停戦暫定合意という大きな前進があった一方で、ウクライナ紛争の激化・英国の政権動揺・中国の周辺国への外交攻勢など、国際秩序の流動性が一段と高まった月だった。習近平主席が7年ぶりに平壌を訪問し中朝の連携を誇示、バングラデシュとの関係も「新時代の運命共同体」に格上げするなど、中国のグローバルサウスへの影響力拡大が加速している。G7エビアン・サミットでは国際危機への共同声明が採択されたが、英国内政の混乱やウクライナ停戦の不透明感がG7結束の足かせとなった。原油市場では米イラン合意を受けてNY原油が70ドルを割り込み、日本のエネルギーコスト緩和に一定の追い風となったが、停戦の脆弱性も残る。