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国際情勢レポート  /  2026年6月

中東停戦・中朝接近・ウクライナ激化:流動する国際秩序の岐路

米イラン戦闘終結の覚書合意とG7エビアン・サミットが重なった一方、ウクライナ情勢はモスクワへの過去最大規模のドローン攻撃で泥沼化。中国は北朝鮮・バングラデシュへの外交攻勢を強め、英国では政権交代への動きが現実となった。

2026年7月3日公開

目次

1. 今月の主要ヘッドライン

2. 日本への影響と対応の方向性

最優先

ホルムズ海峡開放の確実な実施を働きかけ、エネルギー調達安定化を急ぐ

米イランの覚書合意を受け、ホルムズ海峡の段階的な開放が確実に実施されるよう外交的に働きかける。同時に、停戦の脆弱性を踏まえ、エネルギー調達先の多角化と戦略備蓄の継続的な積み増しを並行して進める。

最優先

中朝接近を踏まえた日米韓連携の強化と北朝鮮への圧力維持

習近平主席の訪朝により対北制裁の実効性が低下するリスクを踏まえ、日米韓の情報共有・安全保障協力を一段と緊密化する。中国への外交チャンネルを通じた対北対話への働きかけも継続する。

重要

英国政権移行期における日英協力の継続的推進

スターマー首相辞任後の政権移行期においても、GCAP(次期戦闘航空機プログラム)など日英安全保障・防衛産業協力が停滞しないよう、実務レベルの連携を維持・強化し、新首相との関係構築を早期に進める。

重要

中国のグローバルサウス外交への対抗として対南アジア・インド太平洋戦略を強化

バングラデシュへの中国の影響力拡大を踏まえ、日本独自のODA・インフラ支援や日印連携を通じたインド太平洋地域でのプレゼンス強化を図る。「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の具体化を加速する。

3. 今後の見通し

短期(3ヶ月)

停戦の定着と地域安定への緊張感の継続

  • ·米イラン停戦覚書(スイス署名)の実施状況の監視と、ホルムズ海峡の実際の開放進捗
  • ·ウクライナのロシア・エネルギーインフラへのドローン攻撃継続と、停戦交渉の行方
  • ·英国の新党首・新首相の選出と、対外政策の方向性の確認
  • ·中朝首脳会談後の北朝鮮の挑発行動の有無と、日米韓の対応

中期(1年)

ブロック化と多極化への対応の定着

  • ·米イランの核問題に関する最終合意に向けた交渉の進展と、中東全体の安定への影響
  • ·中国の「グローバルサウス」外交の本格化と、日本の対南アジア・アフリカ戦略の強化
  • ·G7内での英国の新体制との連携再構築と、G7の結束維持
  • ·国際エネルギー市場の再編(UAE増産・OPEC弱体化)への日本のエネルギー政策の適応

長期(3〜5年)

多極化世界における自立的生存戦略の深化

  • ·ウクライナ情勢の最終的な決着と欧州安全保障の新秩序への日本の政策対応
  • ·中朝・中露の連携を前提とした日本の多方面抑止力の整備と外交多層化
  • ·インド太平洋地域における中国の海洋進出への対抗軸(日米豪印・ASEAN連携)の制度化
  • ·原油・エネルギー市場の長期的な変容(脱炭素・GX推進)を踏まえたエネルギー安全保障の再設計

今月の総括

6月は、米イランの停戦暫定合意という大きな前進があった一方で、ウクライナ紛争の激化・英国の政権動揺・中国の周辺国への外交攻勢など、国際秩序の流動性が一段と高まった月だった。習近平主席が7年ぶりに平壌を訪問し中朝の連携を誇示、バングラデシュとの関係も「新時代の運命共同体」に格上げするなど、中国のグローバルサウスへの影響力拡大が加速している。G7エビアン・サミットでは国際危機への共同声明が採択されたが、英国内政の混乱やウクライナ停戦の不透明感がG7結束の足かせとなった。原油市場では米イラン合意を受けてNY原油が70ドルを割り込み、日本のエネルギーコスト緩和に一定の追い風となったが、停戦の脆弱性も残る。