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2026年9月号2026年9月29日公開

月間経済レポート 2026年9月版

2026年9月29日公表の政府「月例経済報告」に基づく景気動向解説。

1. 今月のポイント

今月の基調判断(政府見解)

先月と変わらず
景気は、緩やかに回復しているが、中東情勢や自然災害の影響を注視する必要がある。

※先月の基調判断は維持(【判断維持】)。先行きの表現にも変更はなかった。

重要チェックポイント

個人消費
持ち直しの動きがみられる
設備投資
持ち直している
生産
総じてみれば持ち直しの動きがみられる
貿易・サービス収支
赤字となっている
企業収益
改善しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある
国内企業物価
このところ上昇テンポが鈍化している

今月のまとめ

基調判断は先月から維持された(【判断維持】と明記)。個別14項目のうち、公共投資(堅調に推移→底堅く推移)、貿易・サービス収支(おおむね均衡→赤字)、生産(横ばい→総じてみれば持ち直しの動き)の3項目で表現が変わった。政策面では、日本銀行が9月18日に無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を1.25%程度に引き上げることを決定した。2026年4-6月期の実質GDP(2次速報)では民間最終消費支出が前期比0.0%増、設備投資(法人企業統計季報、4-6月期調査)は前期比1.5%増、上場企業の経常利益は前年比24.6%増となるなど、企業部門を中心に改善が続いている。一方、貿易・サービス収支は赤字に転じ、中東情勢の再緊迫化によるエネルギー価格の上昇や、食料品を中心とした物価上昇が低所得世帯により大きな負担となっている点も指摘されている。

月例経済報告:先月からの主要変更点

分野8月月例9月月例
個人消費持ち直しの動きがみられる持ち直しの動きがみられる
設備投資持ち直している持ち直している
住宅建設総じて横ばいとなっている総じて横ばいとなっている
公共投資堅調に推移している底堅く推移している変更
輸出持ち直しの動きがみられる持ち直しの動きがみられる
輸入おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
貿易・サービス収支おおむね均衡している赤字となっている変更
生産横ばいとなっている総じてみれば持ち直しの動きがみられる変更
企業収益改善しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある改善しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある
業況判断おおむね横ばいとなっている。ただし、先行きについてはやや慎重な見方となっており、中東情勢の影響を注視する必要がある。おおむね横ばいとなっている。ただし、先行きについてはやや慎重な見方となっており、中東情勢の影響を注視する必要がある。
倒産件数おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
雇用情勢改善の動きがみられる改善の動きがみられる
国内企業物価このところ上昇テンポが鈍化しているこのところ上昇テンポが鈍化している
消費者物価緩やかに上昇している緩やかに上昇している

2. 景気全体の動き

公式見解

「緩やかに回復しているが、中東情勢や自然災害の影響を注視する必要がある」

内閣府の推計によると、2026年第2四半期のGDPギャップは+0.7%となっており、経済全体でみれば需要が供給を上回る状態にあるとみられる。生産は世界的なAI・半導体需要を背景に、総じて持ち直しの動きとなっている。企業の設備投資意欲も旺盛であり、持続的な経済成長に向けては、投資の実現等により供給力を強化していくことが重要とされている。一方、貿易・サービス収支は赤字となり、中東情勢が再び緊迫化する中でエネルギー価格が再度上昇傾向にあることも注視する必要がある。

生活目線の解釈

  • 日本銀行は9月18日、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を1.25%程度に引き上げることを決定した。米欧でも、FRBが9月15〜16日のFOMCで0.25%ポイントの利上げ(3.75〜4.00%)を、ECBも9月10日の理事会で政策金利を2.50%に引き上げている
  • 食料品を中心とする近年の物価上昇は、低価格品への切り替えなど節約の余地が小さい低所得世帯にとって、より大きな負担になっているとみられる。輸入物価の上昇は1年弱かけて消費者物価、特に食料品価格を徐々に押し上げる傾向があり、9月以降の食品値上げ予定品目数も増加している
  • 令和8年度の最低賃金の全国加重平均額は前年比+56円(+5.0%)と高い引上げ幅となった。相対的に水準の低い地域を中心に目安を上回る引上げが行われ、都道府県間の差は縮小傾向にある

3. 分野別の動き

個人消費

持ち直しの動きがみられる(先月と変わらず)

プラス面

  • GDP速報(4-6月期2次速報):民間最終消費支出は前期比0.0%増。商業動態統計(7月):小売業販売額は前月比2.1%増
  • 消費者マインドは持ち直しの動きがみられる。実質総雇用者所得は緩やかに増加
  • 旅行はおおむね横ばい、外食は緩やかに増加

懸念点

  • 消費動向指数(CTI、7月):世帯消費動向指数は前月比0.4%減
  • 新車販売台数はおおむね横ばい、家電販売は増加が一服

企業活動・設備投資

企業収益:表現は先月から維持(中東情勢の影響を注視)

  • 企業収益:2026年4-6月期の経常利益は前年比+24.6%、前期比+11.0%(製造業+57.0%、非製造業+9.8%)
  • 設備投資:持ち直している(法人企業統計季報・4-6月期調査は前期比1.5%増。機械受注も持ち直し、建築工事費予定額は持ち直しの動き)
  • 生産活動:総じてみれば持ち直しの動き(鉱工業生産指数7月は前月比0.2%減、8月見込み+6.4%、9月見込み▲4.2%)
  • 貿易・サービス収支:赤字となっている(7月貿易収支は輸出増加が輸入増加を上回り赤字幅は縮小)
  • 倒産件数:おおむね横ばい(7月1,028件→8月830件、負債総額は8月1,447億円)

雇用・物価

  • 雇用:改善の動きがみられる(完全失業率7月は前月から0.1ポイント低下し2.4%)
  • 賃金:定期給与・現金給与総額は増加。令和8年度最低賃金の全国加重平均額は前年比+56円(+5.0%)
  • 消費者物価:緩やかに上昇(8月:コアコア前年比1.9%、固定基準)
  • 国内企業物価:このところ上昇テンポが鈍化(8月:前月比▲0.1%)
  • 金融政策:日本銀行は9月18日、無担保コールレートの誘導目標を1.25%程度に引き上げ

4. 金融市場の動向

株価

  • 日経平均株価は、66,400円台から63,400円台まで下落した後、66,300円台まで上昇した。
  • (※8/28〜9/25の動き)

為替

  • 対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、159円台から160円台まで円安方向に推移した後、153円台まで円高方向に推移し、その後158円台まで円安方向に推移した。
  • (※8/28〜9/25の動き)

金利

  • 短期金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)は、0.97%台から1.22%台に上昇した。TIBOR(3か月物)は、1.5%台から1.6%台で推移した。
  • 長期金利(新発10年物国債利回り)は、2.8%台から3.0%台で推移した。
  • 金融機関の貸出平残(全国銀行)は、前年比5.8%増加(8月)した。
  • (※8/28〜9/25の動き)

5. 政府の対応と先行きリスク

政府の対応方針

  • 「経済財政運営と改革の基本方針2026」(7月21日閣議決定)に基づき、「強い経済」と「財政の持続可能性」を一体的に実現
  • 中東情勢対応:燃料油の激変緩和措置や電気・都市ガス料金の負担軽減策等を実施。代替調達・備蓄放出により原油の安定供給を確保
  • 令和8年度予算に加え、リスクの最小化の観点から編成した令和8年度補正予算を、情勢の変化に応じて適切かつ機動的に執行
  • 令和8年熊本地震について、「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」を速やかに実行
  • 【新規】日本銀行は9月18日、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.25%程度で推移するよう促すことを決定
  • 政府と日本銀行は引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を継続

先行きリスク要因

  • 中東情勢が再び緊迫化する中、エネルギー価格が再度上昇傾向。FRB・ECBともインフレの長期化を警戒し政策金利を引き上げている
  • 食料品を中心とする物価上昇は、節約余地の小さい低所得世帯により大きな負担となっている可能性
  • 貿易・サービス収支が赤字に転じており、今後の動向に留意が必要
  • 輸出はその他地域(中東向け)で減少してきており、先行きも中東情勢等による下押しリスクに留意
  • 生産の先行きは、持ち直していくことが期待される一方、中東情勢や令和8年熊本地震による下押しリスクに留意する必要
  • 企業の2026年度経常利益見通し(日銀短観6月調査)は上期▲6.4%、下期▲6.6%と慎重な見方
  • 消費者マインドの動向、金融資本市場の変動による影響には引き続き留意する必要がある

出典・参考資料