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20268月号2026年8月31日公開

月間経済レポート 20268月版

2026年8月27日公表の政府「月例経済報告」に基づく景気動向解説。

1. 今月のポイント

今月の基調判断(政府見解)

表現変更あり
景気は、緩やかに回復しているが、中東情勢や自然災害の影響を注視する必要がある。

※先月の判断:「景気は、緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある。」から、「中東情勢や自然災害の影響」へと表現が変更された。

重要チェックポイント

個人消費
持ち直しの動きがみられる
設備投資
持ち直している
企業収益
改善しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある
国内企業物価
このところ上昇テンポが鈍化している
消費者物価
緩やかに上昇している
輸出
持ち直しの動きがみられる

今月のまとめ

基調判断の表現が変更され、「中東情勢の影響」から「中東情勢や自然災害の影響」を注視する必要があるとの表現になった。個別14項目のうち、住宅建設(弱含み→総じて横ばい)、輸出(このところ持ち直し→持ち直し)、企業収益(改善の動きがみられる→改善している)、国内企業物価(上昇している→このところ上昇テンポが鈍化)の4項目で表現が変わった。政策面では、令和8年熊本地震について「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」を速やかに実行する方針が新たに示された。2026年4-6月期の実質GDP(1次速報)は前期比0.3%増(年率1.1%増)と3四半期連続のプラス成長、名目GDPは前期比1.2%増(9四半期連続のプラス)となった。また、令和8年8月には千葉県で豪雨による農林水産業関連の被害も発生している。

月例経済報告:先月からの主要変更点

分野7月月例8月月例
個人消費持ち直しの動きがみられる持ち直しの動きがみられる
設備投資持ち直している持ち直している
住宅建設弱含んでいる総じて横ばいとなっている変更
公共投資堅調に推移している堅調に推移している
輸出このところ持ち直しの動きがみられる持ち直しの動きがみられる変更
輸入おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
貿易・サービス収支おおむね均衡しているおおむね均衡している
生産横ばいとなっている横ばいとなっている
企業収益改善の動きがみられるが、中東情勢の影響を注視する必要がある改善しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある変更
業況判断おおむね横ばいとなっている。ただし、先行きについてはやや慎重な見方となっており、中東情勢の影響を注視する必要がある。おおむね横ばいとなっている。ただし、先行きについてはやや慎重な見方となっており、中東情勢の影響を注視する必要がある。
倒産件数おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
雇用情勢改善の動きがみられる改善の動きがみられる
国内企業物価上昇しているこのところ上昇テンポが鈍化している変更
消費者物価緩やかに上昇している緩やかに上昇している

2. 景気全体の動き

公式見解

「緩やかに回復しているが、中東情勢や自然災害の影響を注視する必要がある」

2026年4-6月期の実質GDP成長率は、民間企業設備・民間住宅・民間最終消費支出・公的固定資本形成がマイナスに寄与したものの、財貨・サービスの純輸出、政府最終消費支出、民間在庫変動がプラスに寄与したことなどから、前期比0.3%増(年率1.1%増)となり、3四半期連続のプラスとなった。名目GDP成長率は前期比1.2%増(9四半期連続のプラス)。原油等の輸入価格の上昇により、海外への所得流出(交易損失)は増加傾向にある。また、令和8年熊本地震や令和8年8月千葉豪雨といった自然災害が経済活動に与える影響についても、注視する必要がある。

生活目線の解釈

  • 4-6月期の民間消費・民間企業設備は前期比マイナスとなったが、学校給食費の負担軽減策や一部消費財の通関輸入減、国内企業の大型特許権の海外譲渡といった統計上の入り繰りの影響が大きく、これらを除いた最終需要は増加基調が続いている
  • 2026年4-6月期の上場企業決算では、経常利益が全産業で前年同期比+61.7%(製造業+93.8%、非製造業+21.5%)と大きく増加。世界的なAI・半導体需要を背景に、電気機器産業の増加が顕著となっている
  • 令和8年熊本地震では、被災地域に集積する半導体・自動車関連工場の生産再開が徐々に進む一方、サプライチェーンを通じた影響や、旅館の被害・宿泊キャンセル(発災後10日間で約15万人)など観光業への影響にも注意が必要。政府は「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」を速やかに実行する方針

3. 分野別の動き

個人消費

持ち直しの動きがみられる(先月と変わらず)

プラス面

  • 新車販売台数は持ち直している。家電販売は振れを伴いながら増加。外食は緩やかに増加
  • 実質総雇用者所得は緩やかに増加、消費者マインドは下げ止まっている
  • 賃金の安定的な上昇やガソリン価格等の物価抑制策もあり、実質賃金は7カ月連続でプラスとなっている

懸念点

  • 消費動向指数(CTI、6月):世帯消費動向指数は前月比2.5%減、小売業販売額は前月比3.9%減
  • 旅行は弱含んでいる。GDP速報(4-6月期1次速報)では民間最終消費支出は前期比0.1%減

企業活動・設備投資

企業収益:「改善の動きがみられる」から「改善している」へ表現が強まる

  • 企業収益:2026年4-6月期の上場企業経常利益は製造業・非製造業ともに増益(全産業25.2兆円、前年同期比+61.7%)
  • 設備投資:持ち直している(機械受注は持ち直し、建築工事費予定額も持ち直しの動き)。設備判断DIは6月調査で製造業▲2、全産業▲4と、3月調査から不足超幅が拡大
  • 生産活動:横ばい(鉱工業生産指数6月は前月比1.9%増、7月見込み+1.2%、8月見込み+4.5%)
  • 倒産件数:おおむね横ばい(6月1,021件→7月1,028件、負債総額は7月2,363億円)
  • 輸出:持ち直しの動きがみられる。アジア・米国・EU向けは持ち直し、その他地域(中東向け減少)は弱含み

雇用・物価

  • 雇用:改善の動きがみられる(完全失業率6月は前月から横ばいの2.5%、人手不足感は高水準)
  • 賃金:定期給与・現金給与総額は増加。実質賃金は7カ月連続でプラス(6月:前年比+2.3%)
  • 消費者物価:緩やかに上昇(7月:コアコア前年比1.9%、固定基準)
  • 国内企業物価:このところ上昇テンポが鈍化(7月:前月比0.0%)。輸入物価(円ベース)も上昇テンポが鈍化
  • 輸入物価の構造変化:輸入物価上昇のけん引役が、石油関連のサプライ要因からAI需要等のディマンド要因(半導体等)へシフトしつつある

4. 金融市場の動向

株価

  • 日経平均株価は、61,800円台から69,200円台まで上昇した後、65,800円台まで下落した。
  • (※7/30〜8/25の動き)

為替

  • 対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、163円台から156円台まで円高方向に推移した後、159円台まで円安方向に推移した。
  • (※7/30〜8/25の動き)

金利

  • 短期金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)は、0.97%台から0.98%台で推移した。TIBOR(3か月物)は、1.4%台から1.5%台で推移した。
  • 長期金利(新発10年物国債利回り)は、2.7%台から2.9%台で推移した。
  • 金融機関の貸出平残(全国銀行)は、前年比5.9%増加(7月)した。
  • (※7/30〜8/25の動き)

5. 政府の対応と先行きリスク

政府の対応方針

  • 「経済財政運営と改革の基本方針2026」(7月21日閣議決定)に基づき、「強い経済」と「財政の持続可能性」を一体的に実現
  • 様々なリスクに機動的に対応しつつ、デフレに後戻りしない「成長型経済」への移行を確実なものとする
  • 中東情勢対応:燃料油の激変緩和措置や電気・都市ガス料金の負担軽減策等を実施。代替調達・備蓄放出により原油の安定供給を確保
  • 令和8年度予算に加え、リスクの最小化の観点から編成した令和8年度補正予算を、情勢の変化に応じて適切かつ機動的に執行
  • 【新規】令和8年熊本地震について、「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」を速やかに実行する
  • 政府と日本銀行は引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を継続

先行きリスク要因

  • 【新規】令和8年熊本地震:被災地域の半導体・自動車関連工場のサプライチェーンへの影響、観光業(宿泊キャンセル等)や農林水産業への影響に注意
  • 【新規】令和8年8月千葉豪雨:県内31市町村で水稲・露地野菜の冠水被害など、農林水産業への影響に注意が必要
  • 原油等の輸入価格上昇による交易損失(海外への所得流出)の拡大傾向
  • 輸出はその他地域(中東向け減少)で弱含んでおり、先行きも中東情勢等による下押しリスクに留意
  • 生産の先行きは中東情勢や令和8年熊本地震による下押しリスクに留意する必要
  • 企業の2026年度経常利益見通し(日銀短観6月調査)は上期▲6.4%、下期▲6.6%と慎重な見方
  • 消費者マインドの動向、金融資本市場の変動による影響には引き続き留意する必要がある

出典・参考資料