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20267月号2026年7月30日公開

月間経済レポート 20267月版

2026年7月29日公表の政府「月例経済報告」に基づく景気動向解説。

1. 今月のポイント

今月の基調判断(政府見解)

先月と変わらず
景気は、緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある。

※先月の基調判断は維持。先行きの表現にも変更はなかった。

重要チェックポイント

個人消費
持ち直しの動きがみられる
設備投資
持ち直している
企業収益
改善の動きがみられるが、中東情勢の影響を注視する必要がある
国内企業物価
上昇している(「このところ」の表現が外れる)
消費者物価
緩やかに上昇している
輸出
このところ持ち直しの動きがみられる

今月のまとめ

基調判断は先月から維持された。個別項目でも、国内企業物価が「このところ上昇している」から「上昇している」へ表現が変わった以外は、先月からの変更点はなかった。7月21日には「経済財政運営と改革の基本方針2026」が閣議決定され、「責任ある積極財政」の考え方の下、「強い経済」と「財政の持続可能性」を一体的に実現し、デフレに後戻りしない「成長型経済」への移行を確実なものとする方針が示された。中東情勢に対しては、燃料油の激変緩和措置に加え、電気・都市ガス料金の負担軽減策等が実施されている。海外経済では、中国の2026年4-6月期の実質GDP成長率が前年同期比4.3%増となり、コロナ禍以来の低い伸びとなった。

月例経済報告:先月からの主要変更点

分野6月月例7月月例
個人消費持ち直しの動きがみられる持ち直しの動きがみられる
設備投資持ち直している持ち直している
住宅建設弱含んでいる弱含んでいる
公共投資堅調に推移している堅調に推移している
輸出このところ持ち直しの動きがみられるこのところ持ち直しの動きがみられる
輸入おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
貿易・サービス収支おおむね均衡しているおおむね均衡している
生産横ばいとなっている横ばいとなっている
企業収益改善の動きがみられるが、中東情勢の影響を注視する必要がある改善の動きがみられるが、中東情勢の影響を注視する必要がある
業況判断おおむね横ばいとなっている。ただし、先行きについてはやや慎重な見方となっており、中東情勢の影響を注視する必要がある。おおむね横ばいとなっている。ただし、先行きについてはやや慎重な見方となっており、中東情勢の影響を注視する必要がある。
倒産件数おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
雇用情勢改善の動きがみられる改善の動きがみられる
国内企業物価このところ上昇している上昇している変更
消費者物価緩やかに上昇している緩やかに上昇している

2. 景気全体の動き

公式見解

「緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある」

基調判断は先月から維持され、14項目の個別判断のうち変更があったのは国内企業物価のみであった。本年3月以降、石油関連製品の輸入価格及び企業間取引価格は大きく上昇したが、他の製品への価格転嫁は限定的にとどまっている。一方、食品など消費財価格への転嫁は、夏から秋にかけて徐々に行われる可能性がある。生産活動については、代替調達の進展に伴い石油製品の生産は底打ちし、経済全体の生産活動も輸出需要の増加もあって底堅い動きとなっている。個人消費については、激変緩和措置の効果もあり、落ち込みは見られない。

生活目線の解釈

  • 国内企業物価は「このところ上昇している」から「上昇している」へ表現が強まった。ナフサ・ベンゼン等の石油関連製品の企業物価・輸入物価は本年3月以降大きく上昇しており、今後、食品等の消費財価格への転嫁が進む可能性がある
  • 春季労使交渉の賃上げ率(最終集計)は3年連続で5%台となり、中小企業でも賃上げの広がりがみられる。夏季賞与も昨年を上回る水準が見込まれ、実質賃金は2026年に入り2%前後の安定した伸びが続いている
  • 7月21日に「経済財政運営と改革の基本方針2026」が閣議決定され、「強い経済」と「財政の持続可能性」の一体的な実現と、デフレに後戻りしない「成長型経済」への移行を目指す方針が示された

3. 分野別の動き

個人消費

持ち直しの動きがみられる(先月と変わらず)

プラス面

  • 消費動向指数(CTI、5月):世帯消費動向指数(総世帯)は前月比0.4%増、小売業販売額は前月比1.7%増
  • 新車販売台数は持ち直している。家電販売は振れを伴いながら増加。外食は緩やかに増加
  • 実質総雇用者所得は緩やかに増加、消費者マインドは下げ止まりの兆し

懸念点

  • 旅行は弱含んでいる
  • 消費者マインドの動向には引き続き留意が必要

企業活動・設備投資

企業収益:表現は先月から維持(中東情勢の影響を注視)

  • 企業収益:2026年1-3月期経常利益は前年比+14.6%。日銀短観(6月調査)では2026年度経常利益見通しが上期▲6.4%、下期▲6.6%と、3月調査時点より慎重な見方に変化
  • 設備投資:持ち直している(機械受注は持ち直し)。設備判断DIは6月調査で製造業▲2、全産業▲4と、3月調査から不足超幅が拡大
  • 生産活動:横ばい(鉱工業生産指数5月は前月比0.1%増、6月見込み+3.7%、7月見込み0.0%)
  • 倒産件数:おおむね横ばい(5月780件→6月1,021件、負債総額は6月1,331億円)
  • 輸出:このところ持ち直し。米国・EU向けは持ち直し、その他地域(中東向け減少)は弱含み

雇用・物価

  • 雇用:改善の動きがみられる(完全失業率5月は前月から横ばいの2.5%、人手不足感は高水準)
  • 賃金:定期給与・現金給与総額は増加。春闘賃上げ率(最終集計)5.01%(300人未満4.65%)
  • 消費者物価:緩やかに上昇(6月:コアコア前年比1.6%、固定基準1.7%)
  • 国内企業物価:上昇している(6月:前月比+0.4%)
  • 石油関連製品:ナフサ・ベンゼン等の輸入価格・企業間取引価格は3月以降大きく上昇。食品等への転嫁は夏〜秋にかけて進む可能性

4. 金融市場の動向

株価

  • 日経平均株価は、70,400円台から64,900円台まで下落した。
  • (※7/1〜7/27の動き)

為替

  • 対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、162円台から161円台まで円高方向に推移した後、163円台まで円安方向に推移した。
  • (※7/1〜7/27の動き)

金利

  • 短期金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)は、0.97%台で推移した。TIBOR(3か月物)は、1.4%台で推移した。
  • 長期金利(新発10年物国債利回り)は、2.6%台から2.8%台で推移した。
  • 金融機関の貸出平残(全国銀行)は、前年比6.3%増加(6月)した。
  • (※7/1〜7/27の動き)

5. 政府の対応と先行きリスク

政府の対応方針

  • 【新規】7月21日、「経済財政運営と改革の基本方針2026」を閣議決定
  • 「責任ある積極財政」の考え方の下、「強い経済」と「財政の持続可能性」を一体的に実現
  • 様々なリスクに機動的に対応しつつ、デフレに後戻りしない「成長型経済」への移行を確実なものとする
  • 中東情勢対応:燃料油の緊急的な激変緩和措置に加え、【新規】電気・都市ガス料金の負担軽減策等を実施
  • 令和8年度予算に加え、リスクの最小化の観点から編成した令和8年度補正予算を、情勢の変化に応じて適切かつ機動的に執行
  • 政府と日本銀行は引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を継続

先行きリスク要因

  • 石油関連製品の食品等消費財価格への転嫁は夏〜秋にかけて進む可能性があり、物価上昇圧力に留意が必要
  • 輸出はその他地域(中東向け減少)で弱含んでおり、先行きも中東情勢等による下押しリスクに留意
  • 企業の2026年度経常利益見通し(日銀短観6月調査)は上期▲6.4%、下期▲6.6%と慎重な見方
  • 中国では2026年4-6月期の実質GDP成長率がコロナ禍以来の低い伸びとなり、不動産開発投資の大幅な減少が続いている
  • 金融資本市場の変動による影響、生産の先行きは中東情勢による下押しリスクに留意する必要
  • 消費者マインドの動向には引き続き留意する必要がある

出典・参考資料