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20266月号2026年7月3日公開

月間経済レポート 20266月版

2026年6月30日公表の政府「月例経済報告」に基づく景気動向解説。

1. 今月のポイント

今月の基調判断(政府見解)

先月と変わらず
景気は、緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある。

※先月の基調判断は維持。先行きの表現には「引き続き」の一語が追加された。

重要チェックポイント

個人消費
持ち直しの動きがみられる(消費者マインド注意の文言が外れる)
設備投資
持ち直している
企業収益
改善の動きがみられるが、中東情勢の影響を注視する必要がある
国内企業物価
このところ上昇している
消費者物価
緩やかに上昇している
輸出
このところ持ち直しの動きがみられる

今月のまとめ

基調判断は先月から維持された。個人消費は「消費者マインドに注意が必要」との文言が外れ、輸出は「おおむね横ばい」から「このところ持ち直しの動きがみられる」へ上方修正。倒産件数も「増加がみられる」から「おおむね横ばい」へ改善した。2026年1-3月期の実質GDP(2次速報)は前期比0.5%増(年率1.8%増)と2四半期連続のプラス成長となった。6月15日の米国・イラン間の戦闘終結等に関する覚書合意を受け、原油・ナフサの国際価格は中東情勢緊迫化以前の水準に近づいている一方、物価面ではその影響が輸入物価・企業物価の順に現れ始めており、今後一定期間、物価上昇圧力が続く見込み。日本銀行は6月16日、無担保コールレートの誘導目標を1.0%程度に引き上げることを決定した。

月例経済報告:先月からの主要変更点

分野5月月例6月月例
個人消費持ち直しの動きがみられる。ただし、消費者マインドがこのところ弱い動きとなっていることに注意が必要である。持ち直しの動きがみられる変更
設備投資持ち直している持ち直している
住宅建設弱含んでいる弱含んでいる
公共投資堅調に推移している堅調に推移している
輸出おおむね横ばいとなっているこのところ持ち直しの動きがみられる変更
輸入おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
貿易・サービス収支おおむね均衡しているおおむね均衡している
生産横ばいとなっている横ばいとなっている
企業収益改善の動きがみられるが、中東情勢の影響を注視する必要がある改善の動きがみられるが、中東情勢の影響を注視する必要がある
業況判断おおむね横ばいとなっている。ただし、先行きについてはやや慎重な見方となっており、中東情勢の影響を注視する必要がある。おおむね横ばいとなっている。ただし、先行きについてはやや慎重な見方となっており、中東情勢の影響を注視する必要がある。
倒産件数増加がみられるおおむね横ばいとなっている変更
雇用情勢改善の動きがみられる改善の動きがみられる
国内企業物価このところ上昇しているこのところ上昇している
消費者物価緩やかに上昇している緩やかに上昇している

2. 景気全体の動き

公式見解

「緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある」

2026年1-3月期のGDP(2次速報)は前期比0.5%増(年率1.8%増)と2四半期連続のプラス成長となった。個人消費は前期比0.3%増となった。設備投資は、需要側統計である法人企業統計季報(含むソフトウェア)ベースで前期比2.0%減となったものの、供給側統計の資本財総供給(除く輸送機械)は持ち直しの動きがみられ、先行指標の機械受注も持ち直していることなどから、基調判断としては「持ち直している」とされている。輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。6月15日の米国・イラン間の戦闘終結等に関する覚書合意を受け、原油・ナフサの国際価格は中東情勢緊迫化以前の水準に近づいているが、物価面では合意前の価格上昇の影響が輸入物価、企業物価の順に現れ始めており、今後一定期間、物価上昇圧力が続く見込みである。

生活目線の解釈

  • 2026年1-3月期の実質GDP(2次速報)は前期比0.5%増(年率1.8%増)と、GDP全体としては2四半期連続のプラス成長を維持(このうち個人消費は前期比0.3%増)。個人消費については「消費者マインドに注意が必要」との文言が外れ、持ち直しの動きがより明確になった
  • 激変緩和措置等の政策効果がなければ5月の消費者物価は3%近い上昇率になったと試算される。ナフサ等の石油関連製品の企業間取引価格は依然高水準で、今後も日用品・食品などへの価格転嫁圧力が続く見込み
  • 日本銀行は6月16日、無担保コールレートの誘導目標を1.0%程度に引き上げることを決定。政府は令和8年度補正予算で創設した「中東情勢等対応予備費」を活用し、引き続き臨機応変に対応する方針

3. 分野別の動き

個人消費

持ち直しの動きがみられる(マインド注意の文言が外れる)

プラス面

  • 2026年1-3月期GDP(2次速報):民間最終消費支出は前期比0.3%増
  • 世帯消費動向指数(CTIミクロ)は前月比1.5%増、小売業販売額は前月比2.1%増
  • 消費者マインドは下げ止まりの兆し、実質総雇用者所得は緩やかに増加

懸念点

  • 旅行は弱含んでいる
  • 石油関連製品の企業間取引価格は依然高水準で、日用品・食品への転嫁圧力が続く可能性

企業活動・設備投資

企業収益:表現は先月から維持(中東情勢の影響を注視)

  • 企業収益:改善の動きがみられるが、中東情勢の影響を注視(2026年1-3月期経常利益は前年比+14.6%、製造業+42.9%・非製造業+1.4%)
  • 設備投資:持ち直している(機械受注は持ち直し、法人企業統計季報は前期比2.0%減)
  • 生産活動:横ばい(鉱工業生産指数4月は前月比0.5%増、5月見込み+5.1%、6月見込み▲0.4%)
  • 倒産件数:おおむね横ばい(4月883件→5月780件、負債総額は5月1,211億円)
  • 中東情勢:原油・ナフサの国際価格は中東情勢緊迫化前の水準に近づく(米イラン合意6/15)

雇用・物価

  • 雇用:改善の動きがみられる(完全失業率2.5%、人手不足感は高水準)
  • 賃金:定期給与・現金給与総額は増加。春闘賃上げ率(最終集計)5.02%(ベースアップ3.52%)
  • 消費者物価:緩やかに上昇(5月:総合1.5%、コア1.4%、コアコア1.8%)
  • 国内企業物価:このところ上昇(5月:前年比+6.3%、前月比+0.9%)
  • ガソリン価格:6月22日時点で169.8円/L(激変緩和措置継続中)

4. 金融市場の動向

株価

  • 日経平均株価は、64,900円台から68,400円台まで上昇した後、64,000円台まで下落し、その後72,300円台まで上昇した。
  • (※5/27〜6/25の動き)

為替

  • 対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、159円台から161円台まで円安方向に推移した。
  • 2026年6月29日時点は161.82円(17時時点)。
  • (※5/27〜6/25の動き)

金利

  • 短期金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)は、0.72%台から0.97%台に上昇した(日銀は6月16日、誘導目標を1.0%程度に引き上げることを決定)。
  • 長期金利(新発10年物国債利回り)は、2.5%台から2.7%台で推移した。
  • 金融機関の貸出平残(全国銀行)は、前年比6.3%増加(5月)した。
  • (※5/27〜6/25の動き)

5. 政府の対応と先行きリスク

政府の対応方針

  • 「責任ある積極財政」に基づく機動的な財政運営
  • 昨年11月閣議決定の総合経済対策及び令和7年度補正予算・令和8年度予算の迅速かつ着実な執行
  • 【新規】「経済財政運営と改革の基本方針2026(仮称)」等を取りまとめる方針
  • 中東情勢対応:燃料油への緊急的な激変緩和措置を継続実施
  • 【新規】令和8年度補正予算において創設した「中東情勢等対応予備費」を活用し、引き続き臨機応変に対応
  • 【新規】日本銀行は6月16日、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促すことを決定

先行きリスク要因

  • 米イラン合意後も原油等国際価格の転嫁圧力は今後一定期間続く見込み
  • 輸入物価上昇の影響が企業物価・消費者物価へ順次波及するリスク
  • 日銀の利上げを含む金融資本市場の変動による企業活動・家計への影響
  • 消費者マインドは持ち直しの兆しがあるものの、引き続き動向を注視する必要
  • 世界経済の不透明感(中東情勢等)が引き続き継続
  • 生産の先行きは中東情勢による下押しリスクに留意が必要

出典・参考資料