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20265月号2026年5月26日公開

月間経済レポート 20265月版

2026年5月26日公表の政府「月例経済報告」に基づく景気動向解説。

1. 今月のポイント

今月の基調判断(政府見解)

先月と変わらず
景気は、緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある。

※先月の基調判断は維持。

重要チェックポイント

個人消費
持ち直しの動きがみられる(消費者マインドに注意)
設備投資
持ち直している
企業収益
改善の動きがみられるが、中東情勢の影響を注視する必要がある
国内企業物価
このところ上昇している
消費者物価
緩やかに上昇している
輸出
おおむね横ばいとなっている

今月のまとめ

基調判断は先月から維持された。企業収益の表現が「米国の通商政策の影響が残るものの」から「中東情勢の影響を注視する必要がある」に変わり、米国通商政策への言及が後退した一方、中東情勢リスクが前面に出た。国内企業物価は「このところ上昇している」へ上方修正。2026年1-3月期GDPは前期比年率2.1%増と2四半期連続のプラス成長となった。政府は中東情勢への対応として「リスクの最小化」の観点から令和8年度補正予算を編成する方針を新たに明記した。

月例経済報告:先月からの主要変更点

分野4月月例5月月例
個人消費持ち直しの動きがみられる。ただし、消費者マインドがこのところ弱い動きとなっていることに注意が必要である。持ち直しの動きがみられる。ただし、消費者マインドがこのところ弱い動きとなっていることに注意が必要である。
設備投資持ち直している持ち直している
住宅建設弱含んでいる弱含んでいる
公共投資堅調に推移している堅調に推移している
輸出おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
輸入おおむね横ばいとなっているおおむね横ばいとなっている
貿易・サービス収支おおむね均衡しているおおむね均衡している
生産横ばいとなっている横ばいとなっている
企業収益米国の通商政策の影響が残るものの、改善の動きがみられる改善の動きがみられるが、中東情勢の影響を注視する必要がある変更
業況判断おおむね横ばいとなっている。ただし、先行きについてはやや慎重な見方となっており、中東情勢の影響を注視する必要がある。おおむね横ばいとなっている。ただし、先行きについてはやや慎重な見方となっており、中東情勢の影響を注視する必要がある。
倒産件数増加がみられる増加がみられる
雇用情勢改善の動きがみられる改善の動きがみられる
国内企業物価緩やかに上昇しているこのところ上昇している変更
消費者物価このところ緩やかに上昇している緩やかに上昇している変更

2. 景気全体の動き

公式見解

「緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある」

2026年1-3月期のGDPは前期比0.5%増(年率2.1%増)と2四半期連続のプラス成長となり、景気は緩やかな回復が続いている。個人消費・設備投資・外需がそろってプラスに寄与した。一方で、輸入物価の上昇を受けて海外への所得流出(交易損失)が前期から拡大しており、石油化学製品を中心に輸入物価が大きく上昇していることへの注視が必要となっている。中東情勢の長期化により、原油の代替調達が進む中でも企業収益への影響を注視する必要がある局面が続いている。

生活目線の解釈

  • GDPはプラス成長を維持しているが、輸入物価の上昇による交易損失が拡大しており、国内に残る所得が目減りしている状況
  • 大型連休の旅行需要は堅調だったものの、ラップやごみ袋などの石油由来日用品への影響や食品値上げの増加など、中東情勢の影響が身近な消費にも波及しつつある
  • 原油の代替調達は進んでおり、6月には必要量の約8割を確保できる見込み。政府は令和8年度補正予算の編成で「リスクの最小化」を図る方針

3. 分野別の動き

個人消費

持ち直しの動きがみられる(先月と変わらず)

プラス面

  • 2026年1-3月期GDP:民間最終消費支出は前期比0.3%増
  • 大型連休の旅行需要が堅調(JR各社・航空各社の利用者数が前年比増)
  • 賃上げ進展を背景に可処分所得が増加し、消費を下支え

懸念点

  • 消費者マインドが引き続き弱い動き
  • 石油由来の日用品(ラップ・ごみ袋等)や食品の値上げが増加
  • 旅行はこのところ弱含んでいる

企業活動・設備投資

企業収益:表現変更(中東情勢の影響を注視)

  • 企業収益:改善の動きがみられるが、中東情勢の影響を注視(上場企業1Qは製造・非製造ともに増益)
  • 設備投資:持ち直している(機械受注は持ち直し)
  • 生産活動:横ばい(鉱工業生産指数3月は前月比0.4%減)
  • 倒産件数:増加がみられる(4月883件)
  • 中東向け輸出:自動車等を中心に大幅減(前年同月比▲55.5%)

雇用・物価

  • 雇用:改善の動きがみられる(完全失業率2.7%、人手不足感は高水準)
  • 賃金:定期給与・現金給与総額は増加。春闘賃上げ率5.05%(300人未満4.81%)
  • 消費者物価:緩やかに上昇(4月:総合1.4%、コア1.4%、コアコア1.9%)
  • 国内企業物価:このところ上昇(4月:前年比+4.9%、前月比+2.3%)
  • ガソリン価格:5月18日時点で169.2円/L(激変緩和措置継続中)

4. 金融市場の動向

株価

  • 日経平均株価は、59,700円台から59,200円台まで下落した後、63,200円台まで上昇。その後59,800円台まで下落した後、63,300円台まで上昇した。
  • (※4/24〜5/22の動き)

為替

  • 対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、159円台から156円台まで円高方向に推移した後、159円台まで円安方向に推移した。
  • 2026年5月25日時点は158.97円(17時時点)。
  • (※4/24〜5/22の動き)

金利

  • 短期金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)は、0.72%台で推移した。
  • 長期金利(新発10年物国債利回り)は、2.4%台から2.7%台に上昇した。
  • 金融機関の貸出平残(全国銀行)は、前年比6.0%増加(4月)した。
  • (※4/24〜5/22の動き)

5. 政府の対応と先行きリスク

政府の対応方針

  • 「責任ある積極財政」に基づく機動的な財政運営
  • 物価高対策の継続と生活支援の実施
  • 令和7年度補正予算および令和8年度予算の迅速かつ着実な執行
  • 中東情勢対応:燃料油への緊急的な激変緩和措置を継続実施
  • 原油の代替調達・備蓄放出を推進(6月には必要量の約8割を代替調達できる見込み)
  • 【新規】「リスクの最小化」の観点から、令和8年度補正予算を編成する方針を決定

先行きリスク要因

  • 中東情勢の長期化による原油・エネルギー価格の上昇(ホルムズ海峡依存度93%)
  • 輸入物価上昇(4月:前月比+17.5%)による交易損失の拡大と国内物価への波及
  • 金融資本市場の変動による企業活動・家計への影響
  • 消費者マインドの低下が実質消費の抑制につながるリスク
  • 中東向け輸出の大幅減少(輸送用機器を中心に前年同月比▲88.4%)による企業収益への影響
  • 倒産件数の増加傾向が継続(4月902件)

出典・参考資料