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「ラーメン屋の例」から見える有権者の姿勢
たとえば、あるラーメン屋に入ったとします。
店が汚い、出てくるのが遅い、味が不味い——。
もしあなたが「ただの客」であれば、不満を口にして二度とその店に行かないという選択を取ればいいでしょう。
しかし、政治の世界では話が違います。
政治という「店 (= 国や自治体)」を運営しているのは、選ばれた政治家たちですが、その政治家を選んでいるのは他でもない「我々有権者」です。
つまり、出てくる政策が遅い、成果がない、行政が機能していない——そうした問題の責任の一端は、私たちが選んだ政治家にも、そしてそれを選んだ私たち自身にもあります。
出てくる政策が遅い、成果がない、行政が機能していない——のであれば、それは私たち自身でどうすれば解決できるのか考える必要があるのです。
改善のための「適材適所」
もしあなたがラーメン屋を立て直すとしたら、どうするでしょうか。
提供時間を短くしたいなら、オペレーションを管理できる店長を探す。
店を清潔に保ちたいなら、丁寧に掃除を続けられるスタッフを探す。
つまり、「どんな問題を解決したいのか」によって、任せるべき人は変わるのです。 味を良くしたいのに、「SNSのフォロワーを1000人増やします!」という人を雇っても意味がありません。
政治もまったく同じです。
社会課題の本質を理解せずに、人気取りのスローガンを掲げる人が多い。 それは、ラーメン屋の味を直したいのに、SNSのフォロワー増やすと言っているのと変わりません。
今日本に必要なのは上辺だけの「派手さ」ではなく、社会課題の本質を見極め、「問題解決の力」を持つ人です。
政策は“社会課題の解決”であるべき
政治家が掲げる公約や政策は、本来「社会課題の解決」を目的とするものです。
にもかかわらず、現実には「誰にウケるか」「どれだけ目立つか」を重視するような政策が目立ちます。 それでは、何のための政治か分かりません。
公約・政策が達成されたとき、社会のどんな課題が解決しているのか——。
そこを考えずに「〇〇支援金を増やす」「××を無料にする」といった表面的な話だけに飛びつくのは、問題の原因を見ないまま対症療法を繰り返しているにすぎません。
我々有権者もまた、「今どんな課題が最も深刻なのか」「それを解決するために何が必要なのか」を考える必要があります。
課題を特定し、それに適した人を選ぶ。そしてその人が社会課題を解決できているかを常に確認する。
これこそが、民主主義の原点です。
情報に踊らされず、「考える」有権者へ
テレビ、新聞、雑誌、SNS、ネットニュース——。
そこには政治家の失言、ゴシップ、数字の切り取りがあふれています。
もちろん、政治家の姿勢をチェックすることは大切です。 しかし、表面的な印象論だけで「良い」「悪い」を判断しても、社会課題は一歩も前に進みません。
大切なのは、私たち自身が「何を解決しようとしているのか」「その社会課題は解決に向かっているのか」を考えること。
真偽のあやふやな情報に流されるのではなく、政策の目的と結果を見極める視点を持つことです。
「あの政党はダメだ」「あの政治家は間違っている」と評論家のように批判するだけでは、何も変わりません。
なぜ間違っているのか、どうすれば良くなるのかを考える——。
その一歩が、政治を “批評する側”から “改善する側”へと変える力になるのです。
おわりに──私たちは“共同オーナー”である
政治は、政治家だけのものではありません。
税金を払い、投票権を持ち、この国の未来を支えているのは、他ならぬ私たち有権者です。
テレビやSNSへ向かって不満を言うだけでは、国は良くなりません。
問題を見つけ、解決策を考え、それを実行できる人を選ぶ——。 その積み重ねが「より良い政治」をつくります。
私たちは「ただのお客様」ではなく、国を運営する共同オーナーです。
自らの一票で国の未来をデザインする。その意識こそが、これからの日本を変える力になるのです。