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20262月号2026年2月20日公開

国際情勢レポート 20262

分断の固定化とリスクの顕在化:地政学と経済の同時圧力

ウクライナ戦争の長期化、米中技術対立の継続、中東リスクの再燃により、安全保障と経済が同時に不安定化。日本にも複合的影響が波及

1. 今月の主要ヘッドライン

米国
最高警戒

トランプ関税が世界経済を直撃

全輸入品への関税賦課、同盟国を含む報復の連鎖

日本企業の対米輸出コスト増、円安加速
欧州・ロシア
高警戒

ロシア侵攻から4年、ウクライナ支援は岐路に

G7は支持継続も、EUで支援疲れと経済懸念が拡大

欧州の結束・対ロ政策に影響
中東
最高警戒

トランプ大統領がイランへの軍事介入を示唆

イラン核問題が再び緊張

物流・エネルギー価格に影響
インド太平洋
高警戒

南シナ海での対峙継続、フィリピン周辺で緊張

グレーゾーン衝突が増加

シーレーン安全性の低下
グローバル経済
中警戒

世界経済は減速基調、インフレと地政学が重し

金融引き締めと供給制約が継続

日本の輸出・物価に影響

2. 地域別詳細分析

欧州・ロシア

ロシア侵攻4年:支援の継続か転換か、欧州の分岐点

主要ポイント

  • 2022年2月24日の侵攻開始から4年、戦況は膠着状態が継続
  • G7は共同声明でウクライナへの揺るぎない支持を再確認
  • ゼレンスキー大統領はEU加盟に向けた明確なスケジュール提示を要求
  • EU内部では財政負担・戦争長期化による「支援疲れ」が顕在化
  • 米国の関税政策の影響もあり、欧州経済の成長鈍化リスクが拡大

影響評価

G7の結束により対ロ抑止は維持
欧州の防衛・安全保障統合が進展
EU内の分断(支援継続 vs 負担懸念)が拡大
財政負担と関税影響で欧州経済が減速

見通し

軍事的な大きな変化は見込みにくく、戦争は長期化する可能性が高い。今後の焦点は「軍事」ではなく「政治(支援継続の意思)」に移行し、EUの結束が試される局面に入る。

米国・中国

半導体・AIを巡る規制強化と日本への直接波及

主要ポイント

  • 米国は先端半導体・AI関連の対中輸出規制を拡張
  • 日本企業(製造装置・材料)にも同調圧力
  • 中国は国産化と第三国経由調達を推進
  • サプライチェーンの分断が一層進行

影響評価

国内半導体投資(熊本・北海道など)が加速
日米技術協力の深化
中国市場での売上減少リスク
企業の二重対応コスト増大

見通し

技術分野の分断は不可逆的。日本は「米国圏サプライチェーンの中核」としての役割が強まる一方、中国との経済関係の調整が課題。

中国・日本

中国、対日「軍民両用品」輸出規制を強化

主要ポイント

  • 日本の半導体製造装置輸出規制への対抗措置として実施
  • 日本企業20社を事実上の禁輸リストに登録
  • サプライチェーンの脱中国依存が喫緊の課題に

影響評価

日本の製造業(自動車・電機)の原価上昇
中国市場での日本ブランドのシェア低下
ASEAN・インドへの供給網移管が加速

見通し

中国による「資源の武器化」は今後数年続く見通し。日本は重要物資の国内備蓄と代替技術の開発を急ぐ必要がある。

中東

アメリカのイランへの軍事介入示唆

主要ポイント

  • イランによるホルムズ海峡の封鎖リスク
  • 輸送日数の増加と保険料上昇
  • 原油・LNG価格に上昇圧力

影響評価

日本の輸入エネルギーコスト上昇
物価上昇圧力(電力・ガソリン)
再エネ・原子力再評価の動き
LNG調達先多様化の進展

見通し

地政学リスクは短期で解消されにくく、価格変動が常態化。日本経済にとっては継続的なコスト圧力要因。

インド太平洋

南シナ海の緊張と日本のシーレーンリスク

主要ポイント

  • 中国とフィリピンなどの対峙が継続
  • 米軍・同盟国の関与が増加
  • 偶発的衝突リスクが上昇
  • 海上交通の安全性への懸念

影響評価

日本のエネルギー輸送路のリスク上昇
防衛費増加圧力
日米・日ASEAN連携の強化
防衛産業・安全保障関連需要の拡大

見通し

衝突は回避される可能性が高いが、緊張状態は常態化。日本にとっては最も重要な安全保障リスクの一つ。

グローバル経済

世界経済減速と日本経済への波及

主要ポイント

  • 米国による「一律15%関税」への引き上げ表明が市場に衝撃
  • 中国の不動産不況と供給過剰によるデフレ圧力の継続
  • サプライチェーン再編によるコスト増
  • インフレと高金利が需要を抑制

影響評価

日本の輸出(特に中国・欧州向け)減速
企業収益の圧迫
国内投資回帰の動き
インバウンド需要の下支え

見通し

世界経済は緩やかな減速が続く見込み。日本は内需・投資主導への転換が課題。

3. 日本への影響と対応の方向性(具体化)

安全保障

最優先

南西諸島・シーレーン防衛の重要性が増大。反撃能力整備、日米同盟強化に加え、多国間安全保障枠組みの活用が必要。

エネルギー・物価

最優先

中東リスクにより電力・燃料価格が不安定化。原発再稼働、再エネ投資、調達先分散を組み合わせた現実的対応が不可欠。

産業・経済

重要

半導体・蓄電池など戦略産業への投資加速が必要。一方で中国市場依存の見直しに加え、欧州経済の減速により対EU輸出の下振れリスクも拡大。

外交

重要

米国との連携を軸としつつ、中国・ASEAN・中東との関係維持が不可欠。分断世界でのバランス外交が難易度上昇。

4. 今後の見通し

短期(3ヶ月)

  • エネルギー・物流コストの上昇
  • 半導体規制の追加強化
  • 為替・物価の不安定化

中期(1年)

  • サプライチェーンの地域分断
  • 防衛費・安全保障投資の拡大
  • 欧州の政治・経済分断の進行
  • 日本企業の海外戦略転換

長期(3-5年)

  • ブロック経済化した世界での日本の立ち位置再定義
  • 経済安全保障と産業政策の一体化
  • エネルギー構造の抜本的転換

総括

2026年2月の国際情勢は、ウクライナ戦争の長期化と支援の岐路、米中対立の継続、中東の不安定化が同時進行する中で、国際秩序の分断が一層鮮明となった。特に欧州では、ロシア侵攻から4年を迎え、軍事ではなく政治的意思(支援継続)の問題が前面に出ており、結束の維持が大きな課題となっている。日本にとっては、安全保障・エネルギー・経済の各分野で外部依存リスクが高まっており、同盟強化と経済安全保障の両立を図る戦略的対応が不可欠な局面にある。

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