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日本の政治に欠ける「レビュー」と「プレビュー」

公開:2025/5/22

日々のニュースを見ていると、政治に関する不満や諦めを感じることはありませんか?「何のために選挙があるのかわからない」「結局何も変わらない」と感じる方も少なくないでしょう。私たちは、より良い社会を求めているはずなのに、なぜ日本の政治はなかなか私たちの期待に応えられないのでしょうか。

その根源には、政治のプロセスにおいて決定的に欠けている二つの要素があると考えます。それが「レビュー」と「プレビュー」です。このコラムでは、日本の政治が抱えるこの構造的な課題に光を当て、未来をより良くするための具体的な解決策を探ります。

目次

レビュー・プレビューとは

私たちは日常生活の中で、商品を購入する際にレビューを参考にし、旅行の計画を立てる際には、事前に情報を集め、どのような体験ができるかを想像します。ビジネスにおいては、プロジェクトの成功を評価し(レビュー)、次の目標を設定するために現状を分析し、将来の見通しを立てます(プレビュー)。これらは、過去を振り返り、未来を予測することで、より良い選択や行動を導くための極めて重要なプロセスです。

しかし、日本の政治においては、この「レビュー」と「プレビュー」の概念が驚くほど欠如しているのではないでしょうか。

日本の政治はどちらもできていない

日本の政治は、残念ながら「レビュー」も「プレビュー」も十分に機能しているとは言えません。選挙のたびに各政党や候補者はマニフェストを発表しますが、前回の選挙で掲げた公約がどれだけ実現され、社会課題の解決に寄与したのか、明確な形で国民に報告・評価される機会はほとんどありません。つまり、過去の政治の成果を検証する「レビュー」のプロセスが不在なのです。

同様に、選挙前に現在の社会が抱える具体的な課題を深く分析し、その課題が解決された状態を明確に定義し、そこに至るまでの具体的な道筋を示す「プレビュー」も不足しています。漠然としたスローガンや政策の羅列はあっても、それが本当に国民の生活をどう変えるのか、具体的な未来像が提示されることは稀です。

できていないまま選挙を行うから社会課題は何も解決できない

レビューとプレビューが欠如したまま選挙が行われることの弊害は計り知れません。有権者は、前回の政治がどのような結果をもたらしたのかを知る術がないため、過去の成果に基づいた判断ができません。また、将来の具体的な展望が示されないままでは、どの選択がより良い未来につながるのかを判断することも困難です。

このサイクルが繰り返されることで、私たちは本当に解決すべき社会課題にいつまでも取り組めず、あるいはその解決が遅々として進まない状況に陥ってしまいます。本来、政治は社会課題を解決するためにあるはずなのに、そのための道筋が見えないまま進んでいるのが現状です。

選挙の前に本来やるべきこと

真に国民のための政治を実現するためには、選挙の前に、以下の2つのプロセスが不可欠です。

レビュー:前期の政治家が行った仕事が社会課題を解決できたのかを評価

前期の政治家がどのような政策を実行し、それが実際に社会課題の解決にどれだけ貢献したのかを、客観的なデータに基づいて評価する仕組みが必要です。例えば、待機児童問題に取り組んだのであれば、その結果、待機児童の数がどう変化したのか、それが当初の目標に対してどうだったのかを明確に示し、評価すべきです。これにより、有権者は過去の政治の「通信簿」を受け取り、次回の投票の判断材料とすることができます。

プレビュー:現状の社会課題の分析と、社会課題が解決した状態を定義する

次に、選挙に先立ち、現在日本が抱える喫緊の社会課題(少子高齢化、地域経済の衰退、環境問題など)を深く分析し、その課題が解決された状態を具体的に定義するプロセスが必要です。例えば、「〇年後までに、地域の出生率を〇%向上させる」「過疎地域における医療アクセスを〇%改善する」といった具体的な目標を設定し、その目標達成のためにどのような政策が必要なのかを明確に提示します。これにより、有権者は、どの政策が自分たちの未来をどう変えるのかを具体的にイメージできるようになります。

レビューとプレビューの機能の役割を果たす

「いい政治ドットコム」は、まさにこの日本の政治に欠けている「レビュー」と「プレビュー」の機能を提供することを目指しています。

過去の政治の成果を客観的に検証し、その情報をわかりやすく提供することで、有権者の皆さんが「レビュー」に基づいて判断できる環境を整えます。そして、現在の社会課題を深く掘り下げ、その解決に向けた具体的な未来像を提示することで、より良い社会を創造するための「プレビュー」の場を提供していきます。

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